スポーツ整形
マラソン・ランニング障害
ランニングは、スポーツの基本です。障害部位は下肢が多くを占めます。初心者では筋力不足、中高年者では加齢が影響します。また、ある程度経験のあるランナーでは、overuse(使いすぎ)となっている方も多いです。
代表的な疾患を挙げます。
- ランナー膝
- シンスプリント
- 足底筋膜炎
- アキレス腱炎
足部には縦と横のアーチがあります。アーチが崩れると、足底から足関節、下腿部の骨や筋肉に大きな負担がかかってきます。
※ランニングフォームも重要です。
フォームのチェックポイントは次のようなものになります。
- 肩の力が抜けて、腕が振れている?
- 上体が左右に揺れてない?
- 腰が落ちていない?
- 動きは左右対象?
- ストライドがしっかり伸びている?
- 上下動が激しくない?
- 上体が前傾しすぎていない?
- そり腰や猫背になっていないか?
※弱いところを知りトレーニングなどで強化することも重要です。特に、体幹を強化しておくことです。
※ストレッチやマッサージなどのケアも重要です。
※ウォーミングアップ・クールダウンを徹底する
ランニング障害の多くの場合、安静やストレッチなどのケアで対応出来ます。
しかし、無理をして走り続けていると、慢性化してしまいます。
慢性化すると治療に時間がかかります。
また、疲労骨折を起こしたりする場合もあります。
症状が安静などで改善しない場合は整形外科を受診してください。
※疲労骨折などは、レントゲンで診断がつかない場合もあります。
必要な場合は、MRIやCTを撮ることをお勧めします。
バスケットボールのケガ
バスケットボールのケガは、膝・足が多いです。
小学生では足関節が、高校生以上になると頭・顔のケガが最も多いようです。
膝のケガは高校生以上で靱帯損傷などの重篤な外傷が多くなってきます。
膝のケガには、
- 前十字靱帯損傷
- 半月損傷
- 離断性骨軟骨炎
などがあります。
足・足首のケガには、
- 足関節靱帯損傷(捻挫)
- アキレス腱断裂
などがあります。
テニスによるケガ、障害
テニスは、ラケットを扱うので、上半身では特に腕周りの怪我・故障が多くなります。
ラケットは、自分の体格に合ったものを選びましょう。
また、正しいフォームかどうか、チェックを受けることも怪我の防止につながります。
やはり早期診断が早期治療に繋がります。
長くテニスを続けるためにも、くれぐれも無理はしないよう注意していきましょう。
例:テニス肘、突き指、脱臼、疲労骨折など
怪我や故障の防止とともに、回復も早くなるように、応急処置や表面化しない症状を知っておくことが大切です。
柔道によるケガ
柔道は、学校で行われるスポーツの中でも非常にケガが多いと言われております。ケガの種類としては、捻挫や骨折、脱臼、靭帯損傷、半月板損傷、腰痛など多岐にわたります。
怪我をさせてしまったり、怪我をしてしまうと、柔道が怖くなり、上達を遅らせる事にもなりかねません。
しっかりと、安全面も考え、ケガの無いように気をつけていきましょう。
大事なことは、練習や試合を始める前に、負担がかかりそうな、腰や肩、各関節のストレッチを十分に行っておくことです。
各箇所が柔軟に動くようになっていれば、ケガのリスクは減らすことが出来るでしょう。
怪我をしてしまったら、そのまま放置しておくのではなく、テーピングやクーリングなど行ってください。
痛みが強かったりなかなか良くならない場合は、整形外科を受診してください。
早期診断が早期回復、治療につながります。
スポーツによるケガ、痛みについて
スポーツによるケガ、痛みの診断、治療行っております。疲労骨折や分離症などは、レントゲンのみでは診断できないことがあります。
疑わしい場合は、超音波、必要があればMRI、CTを行います。
MRI、CTは提携医療機関あり、当日検査も可能です。
腰椎分離症
腰椎分離症は、過度なスポーツなどによって腰に負担がかかり、椎弓が分離(骨折)してしまう疾患です。
10~15歳ころから生じますが、青少年から高齢者まで腰痛や下肢痛・しびれが出たりします。
分離症では上体を後ろに反らした姿勢をとったときに分離部のストレスや炎症が増大し腰痛がおこります。
下肢のしびれなどの症状が現れることもあります。
若年者が腰伸展により腰痛を訴える場合は分離症である可能性が高いです。
初期であれば、激しい運動をやめて硬性コルセットで固定することで分離が癒合する可能性があるので、安静とコルセットによる保存療法を行います。
コルセットで腰部を固定し、約2~3ヶ月間、激しい運動だけでなく体育の授業なども含めた運動を中止し、治癒を促します。
リハビリは、腰を安定させるために骨盤周囲の筋肉を伸ばすストレッチと筋肉の強化を行います。
具体的には、大腿部の前後をよくストレッチし、腹筋・臀部の筋肉を強化します。
初期の腰椎分離症の場合、固定とストレッチなどの適切な治療を行った場合は、90%近くのケースで腰椎の癒合が期待できるといわれています。
運動を再開する時期としては2~3か月後を目安にし、CTやMRIなどの画像検査で腰椎の癒合を検査して医師の許可を得てから行うようにしてください。
運動を中止した場合、1か月程度で腰痛が消失する場合が少なくありませんが、必ずしも椎弓の癒合が完全に終わっているわけではないからです。
当院では、初診時にレントゲン、疑わしい場合はMRIで診断しております。
その後は1か月に1度のレントゲンフォロー、リハビリ、3-4か月後にはCTにて癒合の確認をしております。
※最近ではMRIでCTに似たような画像を構築できるようになったためMRIでフォローし早期回復を目指す試みも行っております。
腰椎分離症 MRI骨イメージについて
腰椎分離症の検査は、 MRI,CT両方の検査が一般的ですが、X線被曝を伴わない、MRI のみで検査が出来る事は、有用性があります。
このMRI骨イメージは、多くの医療機関では、まだ検査が出来ない撮影方法の為、提携先と連携してMRI検査行います。
野球肘
野球肘とは
「野球肘」の原因は色々あります。ボールを投げるときには肘には大きな力が加わります。
速い球を投げたり、悪いフォームで投げたりすると、1回1回の投球で肘にかかる負担が大きくなります。
また球数が多くなると負担が増えます。
肘の内側
上腕骨内側上顆障害(リトルリーグ肘)
子供に起こる障害です。
肘の内側の骨の出っ張り成長軟骨が障害されます。
子供の野球肘はほとんどがこの障害です。
少年野球選手の20%以上にみられたという報告もあります。
多くは1~2か月の投球中止によりほぼ治癒します。
投球(送球)以外の練習などは中止しなくてもよい場合がほとんどです。
上腕骨内側上顆裂離
上腕骨内側上顆障害とよく似ていますが、これはある1球を投げた時から急に痛みが出ます。
怪我なので1~3週間程度固定が必要なことが多いです。
この場合も再発予防のために体の硬さ、フォームなどに問題がないかチェックし、是正します。
内側側副靭帯損傷
通常高校生以上で起こります。
投球時の「牽引力」により内側の靭帯が引っ張られて損傷します。
疲労がたまって徐々に傷んでくる場合と急に断裂する場合があります。
投球を中止し、フォームや体の硬さなどに問題があればこれを改善します。
また靭帯を補強してくれる腕の筋肉(回内屈筋群)を強化するなどのリハビリ治療を行います。
それでも改善ない場合は手術となります。
尺骨神経障害
長年野球をすることにより肘に変形が起こり、この変形によって内側の神経(尺骨神経)が圧迫されたり、肘周辺の発達した筋肉が神経を圧迫したりして小指や薬指にしびれが出ることがあります。
投げているうちにしびれが出て投げられなくなることもあります。
改善しない場合には手術が必要となることがあります。
肘の外側
離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭障害)
野球肘で最も重症になる障害の1つです。
ひどくなると関節軟骨の一部がはがれて関節ネズミとなったり、変形が起こって肘の動きが悪くなったりします。
初期に発見されれば投球禁止で治り、手術はしなくてもすむ場合が多いのですが、末期になると手術が必要となり、手術をしても肘の動きの制限や変形が残ってしまうこともあります。
最近各地で少年野球検診が行われるようになりましたが、一番の目的は離断性骨軟骨炎を早期に発見し、重症になる前に治療を行うことなのです。
およそ100人に1-2人の割合で発見されたという報告があります。
肘の後方
肘頭疲労骨折
ボールを投げ肘が伸びるとき(フォロースルー)に、肘の後ろで骨同士の衝突が起こり、これを繰り返すことで疲労骨折が起こることがあります。
骨端線が癒合した中学~高校以降で起こります。投球を休止し、フォームや体の硬さなどの問題を改善し、再発を予防します。
なかなか治らない場合、繰り返す場合にはボルトなどで疲労骨折を固定する手術を行うことがあります。
いろいろなところが痛くなるもの
関節内遊離体(関節ねずみ)
軟骨や骨のかけらが骨の間に挟まって痛みを出します。
挟まっていないときは全く痛みが出ませんが、挟まると激痛が起こります。
手術となる場合もあります。
※全日本軟式野球連盟は、小学生が軟式球でプレーする場合、投手の投球数を1日70球以内とする球数制限を導入することを決めました。
各チームが目標とすべき<1>野手も含め練習での全力投球は1日70球、1週間で300球以内<2>練習は1週間に6日以内、1日に3時間以内<3>1年間での試合数は100試合以内-などとするガイドラインを作成しました。
野球肘予防
繰り返しの力が肘に伝わり障害が起こるという病態を考慮すると予防のために3つのポイントがあります。
- 投球数の制限
- 投球フォームの改善
- 体の柔軟性をアップさせる
投球数の制限
日本臨床スポーツ医学会の「青少年の野球障害に対する提言」(1995年)に、試合を含めた投球数の目安が提示されています。
小学生では、1日50球以内、週200球以内。中学生では、1日70球以内、週350球以内。高校生では、1日100球以内、週500球以内が望ましく、1日2試合の登板は禁止すべき、とされています。
近年、大リーグでも、先発ピッチャーは100球を一つの目安にして交代しています。
投球フォームの改善
特に投球時のコッキング期(投げる前の肘を一番後ろに引いた状態)の肘下がりがよくないとされています。
体の柔軟性をアップさせる
体幹や下肢、特に股関節の柔軟性を上げることが、肘の負担を減らすことにつながり、予防となります。
野球肘検診を随時行っております。
野球肘検診の予約はこちら
野球をしていて肘に痛みを感じるケースはとても多いです。小学生の頃から野球というスポーツを楽しみ、大きな夢も持ちながら一生懸命練習に励む少年ほど肘や肩に負担がかかり、痛みがでやすい状態ともいえます。
ここで注意をしなければいけないのは、肘の痛みに限ってみても、あまり心配のないものから、放置しておくと障害が残ってしまう可能性のあるものまであるということです。大切なのは痛みの原因が何かを見極め、適切に対処することだといえます。肘の障害の中でも、とくに離断性骨軟骨炎は野球ばかりか、放置しておくと日常生活に支障をきたすようになることもあります。
この病気は肘の外側の軟骨の下の骨がはがれてしまうものです。この病気は、“沈黙の障害”ともいわれていますが、症状が強くでないわりに、病気そのものがどんどん進行してしまう場合があります。
まだ症状のない早期に発見できれば、90%が自然治癒しますが、一定以上進行している場合は手術が必要な場合も多くなり、より完治が難しくなります。
早期に発見することは非常に大きな意味があります。
エコー検査機器の性能の向上により、数分程度の検査で発見することができます。この検査はレントゲン検査のように放射線の被曝もありません。
とくに離断生骨軟骨炎が最初におこってくる時期である小学5年、6年生はとくに症状がなくても検診をうけることをお勧めいたします。症状がないうちに見つけることが大切です。
ひとりでも多くの野球少年が、いつまでも健全に野球を楽しめる一助となるため、 野球肘検診を実施しております。お気軽にお電話でお問い合わせください。
費用:500円
目的:肘離断性骨軟骨炎の早期発見
対象:小学生、中学生 症状の有無は問いません。
小学校5、6年生の野球選手は症状がなくても検診をうけることをお勧めいたします。
※病状などにより保険で検査・診察となる場合もありますのでご了承ください。
シンスプリント
スポーツの最中や終わった後に、「すねの内側(ふくらはぎ)の筋肉に痛みや腫れ」が出ることはありませんか?
運動の度に痛みを感じるなら、「シンスプリント」というスポーツによる過労性障害かもしれません。
「シンスプリント」とは、陸上選手や走ることの多いサッカーやバスケットボールの選手に多く、特にシーズン初めや新人の選手に起こりやすい疾患です。
痛みや腫れを放置したままスポーツを続けると、重症化して「疲労骨折」となり、しばらく運動禁止となる可能性もあるので、速やかに整形外科を受診して、適切な治療を受けましょう。
シンスプリントは、「脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)」とも呼ばれ、すねの骨(脛骨)にくっ付いている骨膜が炎症を起こしている状態です。
疲労骨折
好発するのは、第2中足骨で運動時に足の痛みを訴えます。
両下腿骨(脛骨や腓骨)、肋骨、足関節内果、尺骨などにもおこりその部位に疼痛を訴えることがあります。
疲労骨折とは、1回の大きな外傷でおこる通常の骨折とは異なり、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいいます。
丈夫な針金でも繰り返し折り曲げ続けると折損してしまうのと似ています。
スポーツ選手では短期的に集中的なトレーニングを行ったときに生じることが多いのも特徴です。
選手側の要因としては、筋力不足、アンバランスな筋力、未熟な技術、体の柔軟性不足などが考えられ、環境側の要因としては、オーバートレーニング、選手の体力や技術に合わない練習、不適切なシューズ、練習場が固すぎたり、柔らかすぎるなどが考えられます。
明らかな外傷が無く、慢性的な痛みがあるときは疲労骨折を疑います。
X線(レントゲン)検査を行うことで確定します。骨折の有無を確認しますが、わからない場合も少なくありません。
そのような場合は3~4週間後に再度X線写真をとるか、MRI検査や骨シンチグラフィーなどの検査をすることもあります。
局所を安静にすることで、ほとんどが治りますが、時に難治性の時は手術が必要な場合もあります。
疲労骨折が発生した要因を検討し、通常のトレーニングが過度にならないようにしたり、単調なものを避けたりして、普段からコンディションの調整をすることも大切です。
オスグッド病
スポーツをやっている小中学生をお持ちの親御さん、お子さんからこんなことを申告されたことはありませんか?
- スポーツをしていると膝が痛い。でも休むと治る。
- 膝のお皿の下骨が出っ張ってきた(腫れてきた)。
もしかして、それは成長期のスポーツ少年・少女に多い「オスグッド病」かもしれません。
「子供の膝の痛み」というと、(外傷がないのであれば)しばらくすれば治る“成長痛”と思われる方も多いかもしれません。
しかし、オスグッド病は進行性のスポーツ障害なので、痛み・腫れの放置は長期の運動休止や外科的な治療が必要となる可能性があり、早期対応が大事な疾患です。
オスグッド病とは、太ももの前面にある大きな筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)が、成長しきっていない膝のお皿の下骨の一部(脛骨粗面:けいこつそめん)を引っ張りすぎることで成長軟骨を剥離させてしまい、痛みや腫れが起こる疾患です。
シーバー病
お子さんが『かかとが痛い!』と言ったら、もしかして「シーバー病」かもしれません。
シーバー病は、サッカーや野球などスポーツをしている小学生に多い、足のかかとに痛みや腫れが出る疾患です。
お子さんの様子に、次のような症状の心当たりはありませんか?
運動中だけ痛み、休むと治る(痛みがおさまる)。
かかとが痛くて、つま先だけで歩いている。
かかと辺りが腫れている。
「シーバー病」は成長期のお子さんに起こるため、“成長痛“と捉えられる場合もありますが、膝のオスグッド病と同じく、「スポーツ障害」のひとつです。
単なる“成長痛”と見過ごさず、早めに整形外科で適切な治療を受けることが必要な疾患です。
シーバー病とは、「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」とも呼ばれ、かかとの骨の端骨(踵骨骨端核)がはがれたり、その手前の踵骨軟骨(成長軟骨)に炎症が起こったりしている状態です。