PRP療法(再生医療)
※申請の兼ね合いにより2024.12月ごろより提供開始予定となります。
PRP: Platelet-Rich Plasma (多血小板血漿 たけっしょうばんけっしょう)とは?
身体の中を流れる「血液」は、赤血球、白血球、血小板の細胞成分(血球)と、血漿 と呼ばれる液体部分から成り立っています。
PRPは「血小板を多く含む部分だけを血液から抽出したもの」のことです。 例えば、皮膚を切って出血しても、多くの場合は自然に血が止まり、皮膚も綺麗に治ります。これは、血小板がその場所に集まって血を固めたり、成長因子を放出して傷を修復する働きによるものです。
他にも成長因子には炎症を抑える働きや、骨や血管を作るために欠かせないコラーゲンの産生を行う細胞を増やす働きもあります。
これらの効果が期待されるため、直接関節の傷ついた部分にPRPを投与する治療方法をPRP療法といいます。
痛みの改善や軟骨保護効果も期待できる上に、ご自身の血液成分を使用するので、 アレルギー反応や感染などの副作用が少ないことが特徴です。
PRPに含まれる成長因子と効果
血小板は外的刺激に反応して多くの液性因子を放出し,その成分としてPDGF(血小板由来成長因子),TGF‐β(β型変異成長因子),IGF(インスリン様成長因子),VEGF(血管内皮増殖因子)などのサイトカインが知られています。
PRPの作用機序についてはまだ解明されていない部分もありますが,例えばPRP中のPDGF‐BBとPDGF‐ABについては痛みの改善との関連が報告されています。
PDGF-AB(血小板由来増殖因子) |
細胞の複製を刺激します。 血管形成・上皮形成・肉芽組織形成を促進します。 |
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PDGF-BB(血小板由来増殖因子) | |
TGF-β (β型変異増殖因子) |
細胞外マトリックス形成を促進します。 骨細胞の代謝を調節します。 |
IGF-1 (インスリン様成長因子) |
成長ホルモンの働きに関与し、骨の成長を促進。 |
EGF (上皮細胞増殖因子) |
軟骨細胞、骨芽細胞の増殖を促進。 |
VEGF (血管内皮細胞増殖因子) |
血管形成を促進します。 |
期待される効果
PRP(多血小板血漿)には成長因子が豊富に含まれています。
注射した部分の痛みが軽減される効果が期待できます。
1.痛みをとりたい!
PRP療法は膝を切開したり、入院せずに治療できるため、高齢者や手術が難しいといわれた方でも対象となります。
日常生活を送りながら通院で治療を受けることができます。
2.今の治療で効果がみられない。昔から痛みがあって辛い。
PRP療法は、自分自身の治癒能力を引き出す治療法なのでヒアルロン酸注射などで効果のなかった方にもPRPを関節に注射することで痛みの改善があったことが確認されています。
※効果には個人差があります。
3.新しい治療を試してみたい!
当院が使用するPRPに含まれる血小板の数は、血液の10~20倍濃縮になっており、一般的な調製方法と比べ高い濃縮率で血小板を多く含むため成長因子が豊富であり、修復能力や炎症を抑える効果も高くなると考えられます。
過度の安静によって足を支えている太ももやふくらはぎの筋肉が衰えると、膝関節への負担が大きくなり痛みの増強の悪循環となります。
PRP療法によって膝の痛みの軽減、不安の軽減、活動意欲が湧くことでQOLの向上とADLの改善に繋がると考えられます。
QOL(Quality of Life):生活の質
ADL(Activities of Daily Living):日常生活動作
従来の治療と新たな治療の比較
※PRP療法は超急性期、急性期、亜急性期、慢性期のどのタイミングでも受けることができます。
当院のPRPの特徴
1.他院では真似のできないPRP
当院のPRPは、ロート製薬グループの細胞加工施設に製造を委託し、PRPの中でも最高水準の濃縮(約20倍)を行い、品質管理はもとより、製品の無菌検査を行い、安心・安全なPRPを提供しております。
また、他の製品よりも多くの成長因子を含む「新生代PRP」として、これまで多くの患者様に使用されております。
2.新鮮凍結PRP
採血後、約3週後から治療が可能ですが、「凍結処理」を行っているため、加工後は6か月間保管が可能なため、医師とご相談の上、治療タイミングが自由に選べます。
3.複数回治療
PRP治療は、1回治療より複数回の治療に効果があると学術論文等で発表されております。
当院は、1度の採血で2回治療分を1クールとして治療にあたっております。
4.成長因子
当院の高濃度PRPは厚労省より許可を取得している細胞加工施設に加工を委託し、従来のPRPより大きな痛み改善が見込めます。
- 血液の20倍濃縮技術(通常は3倍~7倍)
- 高い濃縮率で従来のPRPよりサイトカインが豊富
- 痛みの改善が大きく期待できる
当院で使用するPRPは、試験によりサイトカインが多く含まれていることがわかりました。
PDGF-ABとPDGF-BBはVASが有意に改善した群で高値を示すことが確認されている。
*:検出限界以下 ※()内は検量線外の計算値
**:検出限界超過 ※()内は検量線外の計算値
(出典:Clinical Efficacy of Platelet-Rich Plasma Injection and Its Association With Growth Factors in the Treatment of Mild to Moderate Knee Osteoarthritis. AJSM Vol. 49, No. 2, 2021 Yong-Beom Park,et al.)
PDGF-ABとは?
PDGF-ABは血小板由来の成長因子で、創傷治癒において役割を果たしています。
研究でも、PRPで治療して痛みが改善した患者群ではこのPDGF‐AB等の値が有意に高かったことが報告されています。
※各社のPRP治療におけるPDGF‐AB量の計測データ[1] 当院のPRP‐PRO治療におけるPDGF‐AB量の計測データ比較
[1] Kushida S, et al. Platelet and growth factor concentrations in activated platelet-rich plasma: a comparison of seven commercial separation systems. Journal of Artificial Organs. 2014; 17, 186–192.
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当院PRP | A社 | 当院PDF-FD | B社 |
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価格(税別) |
15万円 |
30~35万円 |
12万円 |
約18~20万円 |
1回の採血 |
2回投与分作製 |
1回投与分作製 |
2回投与分作製 |
2回投与分作製 |
採血~投与まで |
約3週間 |
当日 |
約3週間 |
約3週間 |
保管期間 |
6か月 |
× |
6か月 |
6か月 |
無菌検査 |
〇 |
× |
〇 |
〇 |
血小板 |
◎ |
〇 |
× |
× |
再生医療安全性確保法 (厚労省への申請) |
〇 |
〇 |
× |
× |
特徴 |
細胞加工施設で専門の培養士が調整した高濃縮PRP |
脱水処理を加え濃縮したPRP 白血球成分が多い |
血漿由来のバイオテラピー 無細胞化しているため、白血球由来の痛みは非常に少ないと言われている |
PRPを凍結乾燥し「無細胞化」した製品。無細胞化しているため、白血球由来の痛みは非常に少ないと言われている |
PRP 療法の流れ
❶ 膝の痛み
膝の痛みがあり保存療法を行っている方が対象です。
❷ 受診・カウンセリング
現在の状態、過去の治療歴等と検査データを総合的に判断し、適応される方には PRP 療法内容と注意点のご説明をします。
※ PRP療法を安全に行うための適応基準があります。満たしていない場合、治療を受けられないことがあります。
❸ 採血
100mlの採血を行い、PRPを製造します。
※採血の前日~当日は脂っぽい食事は避けてください。
❹ 委託業者がPRPを製造
採血後は細胞加工業者に輸送し、3週間後以降に投与可能となります。
※1回の採血で複数回数分のPRPを製造するので、患者様の負担を最小限に抑えることが可能です。(最大6カ月間保存可能 )
※無菌試験を実施しているので、安全性も保たれます
❺PRP投与1回目
採血から3週間後以降に再度ご来院いただき投与します。
※PRP投与時、注射針挿入による強い痛みを伴うことがあります。
※注射後3~4日間は細胞の活発な代謝が生じ、穿刺部周囲に痛み・腫れ・発赤を伴うことがありますが、徐々に軽減されていきます。
※当日は入浴や飲酒、喫煙、激しい運動やマッサージは控えて下さい。
❻PRP投与2回目以降
1 回目の投与から 2 ~ 4 週間後に 2 回目以降の投与を行います。
ご自身のタイミングで投与することができます。
❼ 痛みの軽減
投与後は経過観察をさせていただきます。
※治療の効果や持続時間には個人差があります。
※ PRP 療法は複数回投与することも可能です。
注意・費用
1. 痛み
PRPを注射した後は、個人差はあるものの一時的に炎症が起きるので、痛みや腫れ、赤みなどの症状が出ますが、徐々に軽減されます。
痛みにより関節を動かさないと逆効果になります。治療後にはリハビリテーションが必要です。
2. 治療当日
治療当日は、入浴や飲酒、喫煙、激しい運動やマッサージは控えてください。
3. 感染・アレルギー
関節は細菌による感染に弱いため、治療後は清潔に保つようにしてください。
ご自身の血液成分を使用するので、アレルギー反応の副作用が少ないです。
4. 費用
165,000円(税別)
採血および2回の注射・診察料金が含まれております。
PRP療法は保険が適用されないので自由診療で取り扱われる治療法です。
全額自己負担となります。
Q&A
他の治療法との違いは何ですか?
PRP療法以外にも、以下のような治療があります。
ステロイド剤を用いた治療
抗炎症作用を期待してステロイド剤を投与しますが、頻回に行うと関節症状を悪化させる場合があります。
ヒアルロン酸を用いた治療
ヒアルロン酸のクッションのような働きには痛みを和らげる効果がありますが、効果は短期間であり反復治療が必要です。
PRP療法と上記治療の違いは抗炎症作用が高い、PRP療法は関節内の状態を改善できる可能性(軟骨保護・修復)があることです。
薬剤の一時的な効果よりも長期的な改善ができると考えられます。
誰でも受けられますか?
20歳以上の方なら対象となります。しかし、以下の方は除外となります。
- 癌と診断された方。癌の治療中の方
- 活動性の炎症を有する方(関節リウマチなど)
- その他、担当医が不適当と判断した方
高齢でも大丈夫ですか?
高齢であっても身体への負担が少ない治療法であるため、治療を受けることが可能です。